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日々の雑感、書評などを公開していきます。つまらない本などありません、つまらないと感じたならば、それは自分がその本の面白さを見つけられなかったのです。

双蛇密室-援交探偵、禁断の真実を暴く

今回ご紹介するのは、早坂 吝著 援交探偵上木らいちシリーズの第四弾

『双蛇密室』です。

 

双蛇密室 (講談社ノベルス)

双蛇密室 (講談社ノベルス)

 

 本シリーズは、援交探偵の名の通り、援助交際を行う18歳の女子高生(?)の上木らいちを探偵に据え、様々な事件を解き明かしていくシリーズです。

らいちはいわゆる高級娼婦であり、曜日ごとに異なるお客様を相手にしています。

一回の料金は忘れましたが、10万円ていどでやり放題というシステムだったと思います。

ちなみに本作の第1作目はメフィスト賞を受賞した『○○○○○○○○殺人事件』 です。

こちらも奇想天外な結末が待っているので是非。

 

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

 

 

さて、双蛇密室ですが、ある日らいちのお客様の1人である、刑事の藍川は自分が見る不思議な夢の話をします。

その夢とは、暗い部屋の中で自分が2匹の蛇に襲われる夢でした。

1匹の蛇におなかをかまれ、もう一匹の蛇が迫ってくるところで夢は終わります。

しかし、藍川はかまれた蛇のことをなぜか”良い蛇”だと認識してしまうのでした。

 

藍川は赤ん坊の頃、実家で蛇に襲われた経験があるのでそれが原因じゃ無いか、と考えますが、らいちはその話の矛盾点を突き、なにか隠れた真実があるのではないかと言い出します。

ここから藍川刑事の過去、そして彼の両親の悲惨な過去に向かって事件は進んでいくのです。

 

以上があらすじでした。

さて、早坂さんは1作目の○○○○○○○○殺人事件から、常識に捕らわれない意外な結末を用意することで有名です。

今までのお話は、エロミス、バカミスらしいオチが目立ちましたが、本作ではどこか五体不満足のような、悲しい結末が用意されているのです。

勿論、本作のオチも非常に秀逸なもので、この犯人を当てられた人はいないのではないでしょうか。

 

しかし本作では、探偵の存在意義や真実を暴くことの代償、そして本格ミステリ的な論理的な推理要素など単純にエロミスと片付けられるものではありません。

一見、ただの豆知識に見えるような記述も、推理に必要な重要な手がかりであったりするのです。

登場人物の何気ない台詞の中にも手がかりがありますが、じっくり読んでいても中々見落としてしまいます。

手がかりを何気なく潜ませることが出来る点で、著者のミステリ作家としての力量が非常に高いことが分かります。

 

さて、上木らいちの台詞で非常に印象に残った言葉があります。

「隠されている真実が、隠したままにしていることよりずっと怖いものだったらどうするの、その時あなたたちはどこに逃げるの」

「だから人はどうしようもない真実にぶつかった時、探偵になるしかないのよ。真実を楽しまなきゃ」

この言葉は「臆病だからこそ、真実を知りたい」と言った藍川に対して言われた台詞です。

この言葉から、らいちが探偵になった理由、世の中には知らなくても良い真実があること、真実を楽しめるようになるまでになにがあったのか。

様々なことが考えられます。

そして、簡単に真実を追い求めては大けがをするのだと言うことも。

らいちはどうしようもない真実を知った。だからこそ、探偵になるしかなかった。探偵になると言うことは、そのどうにもならない真実を解き明かすことで、真実を見つける度に傷つくしかない。

そんな探偵の悲しい一面を表しているのだと思います。

今後らいちの過去は明かされていくのか、そしてどうして探偵になったのか。

今後もシリーズから目が離せないのであります。

 

さてさて、女子高生のエッチな姿を文字(?)で見たい方、普通のミステリに飽き飽きしている方、本格が大好きな方、いろいろな方にお勧めできる作品です。

 

ただし、子供はやまない方がいい・・・かも。