すべてが本になる

日々の雑感、書評などを公開していきます。つまらない本などありません、つまらないと感じたならば、それは自分がその本の面白さを見つけられなかったのです。

トリックを考えるのは難しい

オレは作家志望なので、ミステリを書いている。

ミステリなんて21時からやっている二時間サスペンスというイメージしか無かったオレに、森博嗣の『すべてがFになる』という小説は衝撃だった。

密室ってどうせ抜け道があるんでしょ?

入り口から入らないような馬鹿でかい壁で別の入り口を覆ったんじゃねーの。

そんなイメージを完膚なきまでに叩きのめしてくれたのである。

中学時代から数学は赤点で、自分の名前も漢字で書けないようなFランク高校に通っていたオレが、将来は絶対理系大学院に行って研究者になってやる!と決意するほど、その小説は読んでいて興奮した。

※注:『すべてがFになる』の主人公は大学准教授という設定

 

偏差値は高くないが、それなりの歴史ある理系単科大学まで進み、修士課程まで進んだところで、自分に研究は向いていないことを悟って就職したオレだったが、森博嗣という男の衝撃は出会って10年経った今でも衰えず、どうしても作家になりたくて、今は無職をやりながら小説を書いているというわけだ。(職探しはしている)

 

目指すなら当然、メフィスト賞、年三回の選考があるし、なにしろ憧れの森博嗣を排出した賞なのだ。それに、この賞は”変わった”小説を選ぶことも多く、いわゆる”本格”よりも”エンタメ”を書きたいオレには打って付けの賞だと言える。

いくつかのメフィスト賞受賞作を読んで、この程度ならオレにも書けるね笑、と意気揚々と一太郎を購入し、プロットを考え出したオレだったが、さっそく壁にぶち当たる。

・・・トリックが思いつかない。

キャラクターは思いつくのだ。だから、トリックは後回しにしてとりあえず事件発生まで書いても、事件に至るまでの伏線、キャラクターの行動(これがアリバイになる)がまるっきり書けない。

 

Amazonの書評を見ると”トリックが陳腐”なんてコメントをよく見かける。

しかし、自分でやってみればわかるが、陳腐に見えるトリックでも、それを一連の事件とその解決として編み出すのは、緻密な計算が必要である。

そこまで描けたとしても、探偵は提示された手がかりから、犯人のトリックを暴かなくてはならない。

これが難しい。

作者は作品世界の神なので、トリックなんてわかりきっているが、それを読者にも分かる形で、そして簡単には犯人を見破られないように、ミスリードを含めて手かがりをばらまく必要があるのだ。

これも難しい!

手がかりを出そうとすると、あからさまだし、逆に手がかりを出さないと、探偵が突然解決を思いつく超能力者に見えてしまうのである。

 

どうやら作家への道は長く、そして険しいみたいだ。だけどあきらめるにはまだ早い。

森博嗣も言っていたじゃないか、”才能が無いなんて、100本書いてから言え”って。

だからとりあえず、あと98本。諦めないで頑張ってみようと思う。

 

何事も、自分で生み出してみると難しさが分かる物だなぁと身にしみる。

小説も音楽も詩もWebアプリケーションも、作り手はきっととても苦しんでいて、とても勉強しているのだろう。

 

とりあえず、毎日密室殺人トリックを考えて、職を探して生きている。

でもまずは職探し第一だよなぁ・・・。